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リテラシーと理解について考える

1911以前 その1(動画)

COLT M1911以前のJohn Moses Browning(ジョン・モーゼス・ブローニング)の自動拳銃の系譜をYouTubeの動画で並べてみます。
 動画が重いので開けるのでしたら注意してください。
       
 先ず最初期のモデルとしてベルギーのFN(Fabrique Nationale)から発売されたFN M1900(1899年に製造開始)。.32ACPは護身用拳銃の弾として大ヒットします。
   
 銃身を包む形状の比較的に大型の「スライド」を単純に発火ガスの吹き戻し(ブローバック)によって給弾・排莢を行います。反動も作用しますが基本的に金属ケースそのものがピストンとして働きます。
 薬室での薬莢内発火によるガス圧と反動が閉じられている上下左右のパイプ状の前後にある弾頭と薬莢・スライドに圧力をかけ軽い弾頭を早く撃ち出し、反対側の重いスライドとバネの抵抗を受け比較的に遅い速度で排莢を行い、バネの戻る力で装填します(オープンボルト式の短機関銃などは発火も)。
      
 ストレートブローバックでリコイルスプリングの下に銃身があり同じリコイルスプリングでストライカー(となっているがある種のハンマー式のようにも見える)にもテンションを掛けているのがよくわかります。発売当時ヨーロッパに旋風を巻き起こした名銃です。
 既に撃発方式などのユニット化が行われ、すでに現代の自動拳銃の基本的な考えの多くが盛り込まれていることに驚きます。
            
 第一次世界大戦の引き金になったサラエボでのオーストリア皇太子夫妻暗殺事件にも使われたとされた事でも知られます。(余談ですが暗殺されたフランツ・フェルディナント大公は明治26年来日していて日記が残されています。講談社学術文庫に翻訳されていて中々面白いです。知日派で悪い人でも無いようです)
 分解だけでなく発射シーンも有ります。
              
 
        
 COLTで最初にに商品化されたのが外装ハンマー式のM1900。
        
 現代のティルトバレル方式のショートリコイルの原型になったパラレル・ルーラー・ロッキング方式のショートリコイルシステムで、薬室下部だけではなく銃口近くにもリンクが置かれ銃身が完全に並行に下げられる形で閉鎖を解除します。壊れやすかった様で後により単純なティルトバレル方式に変更されます。
                              
 見た目が似ているので誤解されやすいですが、ショートリコイルは銃身内のガス圧で作動するブローバックやディレードブローバックとは基本的に作動が異なり、銃身内に銃弾で「蓋」がされ発射ガスの圧力がある時には閉鎖が解除されず、銃弾が移動し最終的には銃口を出て、その際の反動によって閉鎖が解除され給弾・排莢が行われます。文字通り「リコイル」で作動します。
            
 弾頭が銃身を出るまでにスライドやボルトは後退しますが閉鎖は基本的に解除されません。弾頭が銃身内に存在しライフル(旋条)に喰い込みながら進んでいる限りは前方に向かうエネルギーがあるので弾頭の移動エネルギー以上の圧力は後方には向かいません。閉鎖されている銃身内では作用=反作用です。反動は弾頭が銃口を出る際に銃身と結合されたスライドに作用し作動します。
           
 銃身内に弾頭が存在しスライドと銃身がロックされている限り反動はほぼ相殺され、ガス圧は作用しません。銃口から弾頭が出る際の反動エネルギーで作動します。
 云われる事もあるガスのハイプレッシャー状態から「遅らせるための閉鎖」ではありません。
 ストレートブローバックとは違い、ガス圧による後方への圧力と弾頭の発射エネルギーの反動の作用するタイミングが違うので体感的な反動は柔らかくなります。
>25番 F A Q
 http://taka25ban.sakura.ne.jp/newpage432b.htm
         
 ブローニングタイプのティルトバレル方式はボーチャード Borchardt(ボルヒャルト)のトグルジョイント(尺取虫)やモーゼルC96や後のワルサーP38のプロップアップ式ショートリコイルよりも単純な機構で充分な役割を果たします。        
 この銃のために開発されたのが.38ACPですが後に新式の.380ACPが登場し旧式化します。
 美しい仕上げにも注目。
 
                
        
                   
 改良型のM1902も有ります。
 
          
 
             
        
  この方は凄い研究者で古いCOLTの自動拳銃についての素晴らしい映像資料を数多く発表されています。どれも美しいですね。
 機械としては後のM1911の方が優れているのは明らかですが、より古い第一世代自動拳銃(俺定義)には「発明品」のたのしさと魅力的な手工芸品の味わいがあります。
       
 ストレートブローバックで内蔵ハンマー式のコルトポケットでも知られるM1903(.32ACP)とM1908。
 M1903初期型のは少し大型のモデルとして発売されしたが1908年位にはコンパクトモデルとして完成します。グリップセフティは後から追加された機能です。
 M1908用に開発された.380ACP(9mmショート)は現在でも中型拳銃の弾丸として護身用や警察用としても多く用いられます。
 
       
 ほぼ同じモデルがFNからM1903/M1907としても発売されています。
 http://dutchman.rebooty.com/m07-pistol.html
        
ブローニング・ベビーで知られるFN M1906とそれを元に作られたCOLT M1908(ベストポケット)。
 ストレートブローバックの.25ACPのとても小さな銃です。FN M1906は400万丁作られたとも云われるベストセラーモデルです。
 FN M1906
 
 COLT M1908
         
 その2に続く。