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リテラシーと理解について考える

「なぜ左派=経済軽視になるのか…」

 先ほど黒猫亭さんのTwitterを覗いているとこのようなコメントを紹介されていました
      
>うなぎ(steel_eel)さん    

「なぜ左派=経済軽視になるのか…。経済軽視=ブラック企業応援=人権侵害促進でしょ 他にも金がないことにより人権が守られなくなるパターンは色々あると思うが。」

 個人的には以下のように理解しています。
(全ての左派がそうだという意味ではありませんが…)
                 
 いわゆる左派にとっては本来「資本主義経済」は間違った制度であり人権侵害が起きるのが当然だからです。
 ですから資本主義社会において人権が守られないのは当然であって基本的には問題の解決は「資本主義の克服」によってしか得られないというのが前提としてあるからです。
 資本主義の改善や進歩によって「資本主義の問題」の解決を目指すのは間違いであって「根本的な解決」に繋がる手段ではあるはずがない。「資本主義」を上手く使うことで問題が「解決」することは不正なことで「悪」の延命に他ならない不道徳な手段である、ということになります。少なくとも「正しい解決案ではない」といえます。
     
 寧ろ資本主義経済の下で人権侵害が起きるのは「資本主義」の間違いが証明される事で「左派」の主張の正しさを証明しているので「正しい」状況であるともいえます。
 例えば「経済成長」で人権侵害などの問題が克服されるのというのは本来「間違った事」で本質的な解決策ではないという事になります。
 資本主義経済は「失敗するはず」で「成功」はまやかしで、本質的には改善される事もあり得ないという事にもなります。
         
 ここからは酷いことを書きます。
               
 現代の日本においては「左派」は金銭的社会的に成功している人をも多く含むという点もあります。
 個人的には言論の世界において「左派」は「頭の良い人」が多いと理解しています。教育が生活水準に大きな影響を与える社会においては「頭が良い人」はそうでない人より恵まれている可能性は高いと感じています。
 そして少なくはない「左派」が高学歴で高い地位にあり恵まれた生活を送りながらも左派として自分に恵まれた生活を与える「資本主義社会」の批判者でもあるいういわば「矛盾」ともいえる状況にあるという事にも理由があるともいえます。
 少なくはない左派の指導者や左派に評価される言論人が「高学歴者」でそれなりに社会的経済的恵まれた方が多いようにも感じます。そうでない方でも支持している人がそうであったり同志におられたりもします。
           
 彼らが個人的には比較的恵まれた生活を送りながら「左派」であり続ける為には「資本主義」そのものが間違いでなければなりません。「資本主義経済」が改善可能な物なのであれば今の生活を容認しながら批判する「左派」としては場合によっては自腹ででも弱者を救済しなければならないという事にすらなります。
 資本主義経済を認める「左派」として主張し現代社会の批判者改革者であるとすれば自分の娯楽や趣味に使う余裕があればまず困窮者のために先に使うべきという立場にもなりえます。少なくとも自分が他人より恵まれた状況で有るとすれば意識せざるを得ないといえます。
 自分に成功を与えた「資本主義」に矛盾があるのであって自分の成功には矛盾がないとせざるを得ません。「資本主義経済」に対して「他人事」として接するしかないとも言えます。
 「資本主義の克服」が本来の「正しい」問題解決であるとする前提があれば現在の自分の恵まれた条件を否定せずに社会制度を批判することにも矛盾を感じません*1
           
 間違っているのは「資本主義社会」そのものの本質でそこで恵まれた状況にある自分は問題の外側にあり、自分の成果を他人に与える必要はない。
 代替案や解決策を責任をもって提示する必要はなく「資本主義社会」を批判することが可能になり、恵まれた自分にも罪悪感を持つ事もなく身を削る必要もありません。
 もし自分が犠牲になっても「純粋な被害者」として一方的に「資本主義社会」を糾弾する立場にもなります。
 現実の現代社会で「何とかなっている」左派にとっては経済軽視は矛盾のない行動です。
     
 ある種の「左派」とリバタリアンは「資本(自由)主義経済では格差が生じるのは当然」という点で共通の認識があり「ブラック企業」の存在は必然でそれが正しいのか間違いなのかで対立が有るだけの表裏一体の主張とも言えます。「能力主義」も共有される場合もあります。
 「左派」が自分に都合の良い分だけでも「資本主義社会」を受け入れている以上旗色が悪いのはやむを得ないでしょう。

*1:この行14/01/03追記