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リテラシーと理解について考える

ブックマークのコメントの補足

 ブックマークのコメントについてです。(追記あります)
http://b.hatena.ne.jp/entry/togetter.com/li/343098
 
>のぎ茶会「農作物としてのワイン」
http://togetter.com/li/343098
>ワインと有機栽培。ワインには有機栽培という情報はない。うんちくで語られるのはマニアが調べ上げたから。
             
 についてですが。まず。
 「ワインには有機栽培という情報はない。」といわれる表現が飲んだ味や見た目等のワインの液体に「有機栽培という情報はない。」と言う意味ではなく、ワインのラベル等包装・宣伝といった表記される物に「情報はない。」と言われているのだと認識しました。
 そして一般的な「ワインのラベルの読み方」にある原産地名称や生産者、品種や容量・アルコール度数などの表記には通常「有機栽培」という意味は含まれません。これも事実です。
            
 ですが現在世界中で「有機認証」は一般的に行われています。
 ヨーロッパのワインについてよく知られるのはEcocert(フランス)、IMO(スイス)、CCPB(イタリア)です。
 何れも政府や国際機関から認められた正式な公的認証機関です。
>Ecocert
http://www.ecocert.com/ 
  
>IMO
http://www.imo.ch/imo_services_export_import_en,1584,998.html
   
>CCPB
http://www.ccpb.it/en/
  
 機関によって異なりますが、認証された場合、通常ボトルに通常有料のシールが張られる場合が多いです。
     
>日本以外のワインのエチケットにorganic等と表示される事はほぼ無いという意味です。
 
 と言われる点については「ワインには有機栽培という情報はない。うんちくで語られるのはマニアが調べ上げたから。」とも意味合いは異なりますが「有機栽培認証機関」の認証シール等と文脈の異なる原産地名称等の食品としての表示義務付けされた「エチケット」のみが情報ではありません。
                  
 公的な有機認証については日本の輸入業者も積極的に情報を提供しています。
サントリー ワイン スクエア フェッツアー(アメリカ)
http://www.suntory.co.jp/wine/series/winery/510/index.html
      
>メルシャン オーガニックワイン(少し古い記事ですが)
http://www.mercian.co.jp/company/news/2005/0573.html
       
 良し悪しは別にして少なくとも「ワインには有機栽培という情報はない。うんちくで語られるのはマニアが調べ上げたから。」というのは明らかに事実では有りません。「マニア」の「うんちく」の話ではありません。
     
 むしろ問題は、現在の技術では条件によって比較的相性がよく品質に問題が起きにくいワインでビジネスとして成立した有機栽培農法が一般的に農業全体に有効なものと誤解され易いという点と、それがすでにある程度足場を固め、マーケティング的にそれを利用するヨーロッパ等の先進国の高級農産物生産国の政治的経済的事情における有機栽培農法の「尖兵」としての役割です。
 日本より欧米での「蔓延」が「問題」とも考えられます。
     
 「ワインには有機栽培という情報はない。うんちくで語られるのはマニアが調べ上げたから。」
 ではなく
 「ワインでは有機栽培という情報は一般的に存在し、国際的な公的認証機関や企業が正規の資料やパッケージでも積極的に薦めている。」
 が妥当に考えます。
 科学系ブログで発信する「ワインに詳しい稲作専業農家」の方と「食品の安全と表示の専門家」の「サイエンスカフェ」での勉強会からの発信としては「間違い」と申し上げるしかありません。
         
 「亜硫酸塩無添加と混同している」と書いたのは「無添加」を証明するのは本来はワインに「亜硫酸塩」が含まれていないのを証明すればよいだけですが、ワインの醸造では「自然に」添加しなくても少量の「亜硫酸塩」が生成される為、製造段階での亜硫酸塩無添加を証明しないといけないのですが、海外の特に少量生産のワインについてはそれがコスト的に見合わないために「亜硫酸塩無添加」とは表記しておらず「マニア」がそういった説明が認められる海外の情報から「亜硫酸塩無添加」を述べたり、業者の口頭での「製造瓶詰めにおいては、亜硫酸塩を添加していません」という説明が存在するという業界の「裏話」との混同をされているのではないかと考えました。
「うんちくで語られるのはマニアが調べ上げたから。」がこの点についてだととりあえず妥当だと考えます。
     
 今は知りませんが昔はヨーロッパ等のワインでは「亜硫酸塩添加」の表記義務自体が存在しないために「現地のワインは亜硫酸塩無添加が普通だが日本に入る物のみ添加されている」という誤解がありました。
 むしろ多くの国では「亜硫酸塩無添加」の表記が「傷み易い」「低品質」のイメージが存在し、それこそ一部の「マニア」以外では評価されない為、積極的には基準が作られなかったとされています。(現在については知りません)
  
 ちなみに摂津国人自身の「ビオディナミのワイン」についてはこちらに見解があります。
 黒猫亭さんのブログのコメント欄です。>「科学では解明されていない」と謂う嘘
http://kuronekotei.way-nifty.com/nichijou/2010/08/post-6b2d.html
  
 「天然酵母」についてはこちらに書きました。
http://d.hatena.ne.jp/settu-jp/20110110/1294585299
  
 有機栽培ワインについての議論は
>ほんとうのワイン パトリック・マシューズ
http://www.amazon.co.jp/dp/4560081883
>ワインの科学 ジェイミー・グッド
http://www.amazon.co.jp/dp/4309252230

〔追記〕
 わざわざ丁寧に手間のかかる対応をしていただきました。
>のぎ茶会「農産物とワイン」の内容の間違いについて訂正 - Togetter
http://togetter.com/li/346367
  
 メーカーによって「有機を売りにする」所(自社ブランドが弱い。美味しくない場合が多い)と有機認証さえ受ければ特にアピールしないメーカーもあるので目に付かないのが普通かもしれません。
   
 ついでに日本の業者が恐らく別料金でわざわざシールを張った物「リラックス」
http://www.re-lax.jp/Nature/NatureE.html
    
 有名どころでラベルにorganic表記がある「コノスル」値段も1200円程度で味も普通以上。
http://www.conosur.com/en/our-wines/organic/
   
 フランスの大手ワインメーカーで「自然派」として評価の高い「シャプティエ」の「ビオ」。価格も品質も妥当。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/sakenohanai/w2178.html
   
〔追記2〕
 上で「シール」としたのは多くの場合、法的義務のある「エチケット」での表示ではなく裏貼り他別紙にマーク等が書かれている事が多いだろうとする意味でした。手元に実物が無いので検索ですぐに見つかった物から確実な点として強調しました。 
 少なくないワインで「エチケット」でも表記されていたのは事実で、上で「シールのみで表示」と読めるのは雑な書きようでした。訂正します。