日本のウスターソース類は明治の初めに持ち込まれたイギリスのウースターソース(ウースターは地名)から独自の調味料として発展したものです。
粘度の低いウスターソース、粘度のある中濃ソース、濃厚ソース(とんかつソース)から焼きそば用、お好み焼き用、タコ焼き用など様々なタイプに派生し、現代日本の食文化の一部を担います。
地域によって幾らか好みも違い、東日本ではブルドックソース、西日本ではカゴメソースやイカリソースが大手とされますが、関西では小規模な「地ソース」が多くあることも知られ、広島発のお好み焼き用のオタフクソースが全国でも人気を集め、他にも地元で愛される多彩なソースも有り、近年では地域振興の形で新しい味わいのソースも登場しています。個性的なおいしいソースをつくる生産者が多くあります。
関東などでは中濃ソースが多いらしいですが、関西では地ソースを含めウスターソースととんかつソースの二種類を常備する家庭は珍しくはなく、他にお好み焼き用や「どろソース」なども組み合わせて使う人もいます。
一方、地域によっては店に少数の大手のソースしか置いていないところも有り、おいしいソース、好みのソースがない、又は割高なので買いづらい、あまり使わないので色々試せないといったことも有るようです。
ウスターソース類は醤油や塩、酢などとは違い、もともと複合調味料というべきものです、いくつもの素材の組み合わせ、ブレンドによって味を作り上げます。
これを改造し、自分でオリジナルソースといえるものを作ったり、好みの味に作りなおしたりすることは十分に可能です。独自のブレンドを作る楽しみも有ってもよいでしょう。
ウスターソース類もメーカーによって味が異なりますので下の分量は一つの目安としてお読みください。
簡単なところから書きますが、例えばウスターソースだと半量から同割りまで、中濃ソースだと2割から6割位までのトマトケチャップを入れるととんかつソース風のソースが出来ます。最低限の調味料しか持たない方で2種類のソースはいらないという方はお試しください。お好みで少量の醤油や砂糖、酢、砂糖や水あめなどで調整しても良いでしょう。
ウスターソース3割、とんかつソース3割、トマトケチャップ4割(又はウスターソース2.5割、中濃ソース2.5割、トマトケチャップ5割)に醤油と砂糖又は水あめか蜂蜜(好みでほんだしも)か3倍濃縮麺つゆ少々でお好み焼き又はたこ焼きソース風にもなります。
安いソース等では塩辛いだけでコクやうま味が足りないと感じるものもあります。
塩気をまろやかにし、コクやうま味を増すは例えばトマトジュースの類を5%から10%ブレンドすると味がまろやかになります。野菜ミックスジュースやフルーツがブレンドされたものを足すと複雑な味や甘みを加える事が出来ます。より濃厚なコクが欲しい場合は煮詰めたジュースを用いても良いでしょう。1〜2割程度のトマトケチャップも有りです、勿論無塩のトマトペースト(濃縮タイプ)かトマトピューレでもかまいません。フルーツ100%ジュースも砂糖や水あめも利用できます、甘みを入れるだけでマイルドな深みが増します。
トンカツソースの様な粘度のある濃厚ソースだとマヨネーズやラー油などの油脂を用いてコクを増すことも出来ます。辛子やマスタードを加えることも有ります。
試してみてお好みに合うようなら濃度の近いものだと混ざりやすいのでボトルに直に追加成分を入れシェイクするだけなので簡単にできます。別に空ボトルを用意しておき、それをブレンド用に使う手も有ります。一度少量のソースで試してみてください。
飲食店でもウスターソースと中濃やとんかつソース、ケチャップや醤油や辛子マスタード等をブレンドしその店の「オリジナルソース」を作るところも少なくは有りません。
同じメーカーのもの同士の方が馴染みが良いともいわれますが、別々のメーカーのソースをブレンドすることも有りえます。
それぞれの個性を理解し自分の好みに組み立てなおすのも面白いでしょう。
素材やメニューごとに異なるソースを使う店も有ります。
串カツ屋の浸けて食べるソースはブレンドしたソースなどを3分の1から半量位の出汁か水で割ったものを用いる店もあります。
例えばウスターソース8に対し、とんかつソースが2にトマトケチャップ1、3倍濃縮の麺つゆが1で焼きそばや焼うどん用のソースにもなります。
トンカツソースに濃縮麺つゆを加えたり、ウスターソースと濃縮麺つゆを煮立たせ(【追記】水で味を調え)澱粉等で固めにとろみをつけたものをお好み焼きやたこ焼きに用いる事も可能です。
麺つゆだけではなく焼き肉のタレやポン酢やノンオイルドレッシングを入れても良いでしょう。
家でカレーライスを作る場合に独自の隠し味を入れる方もいるでしょう。
ソースもカレーのように隠し味をいれたりして目的にあった好みのソースにする事が出来ます。
一般に市販のウスターソースは塩分が7〜10%、とんかつソースや中濃は少し塩分が弱く6%前後、焼きそば用は塩分7〜8%、お好み焼き用が5%強でたこ焼き用は5%弱で糖分も多くとんかつ用よりも甘いものが多いようです。ちなみに濃口醤油は14〜16%、淡口醤油で16〜18%、3倍濃縮麺つゆで10%前後。
基本的に焼きそばお好みたこ焼き用はウスターやとんかつ・中濃よりも酸味が弱く風味成分が多く加えられているようです。
ソース類の裏面などに書いてある原材料を見ると酢や野菜や果物かそのエキス、塩、砂糖、スパイスの他、カツオなどの魚貝や昆布などの風味素材、醤油やオイスター(牡蠣)ソースやアンチョビ、魚醤が含まれているものが有ります。つまりこれらの副材料を用いる事でそれぞれ独自のソースが作られている事がわかります。
ですからこれらの成分を追加しオリジナルソースを作ったり好みの味に作り変える事が可能だという事です。ジュースや麺つゆなどの成分で補うのに問題は有りません。
チャツネの類やペースト、ジャムなどを加えたり「ほんだし」や固形スープを煮溶かして混ぜたり、ニンニクや生姜、カレーパウダー、唐辛子や黒胡椒等のスパイスを足すことも出来ます。
手間をかけるなら追加成分を入れ鍋で75度位まで加熱すれば味の馴染みが良くなります(加熱後はできれば鍋ごと急冷すると香りや風味、酸味が飛ばない)。
少量のソースで実験し、上手くいったものを常備したり、目的にあわせその場でブレンドする事も出来ます。個人や家庭で好みのオリジナルソースを作れます
追加成分で塩分や酸度が下がったものは冷蔵庫で保存し、早めに使い切る必要はあるかもしれません。
イギリスの本家のウースターソースは隠し味に使う事が多いそうで日本のソースよりも味がきつく、そのままで掛けるのというのはそれほどないそうです。
日本では洋食の焼き物や揚げ物に直に掛けるソースとして改変が行われ、米のご飯とも会うように甘みがつけられ、とろみのあるとんかつソースや中濃ソースがつくられ、洋食とは言い難い「コナモン」にも用いられるようになり独自の文化を作り上げました。
とんかつソースはもしかするとウスターソースをデミグラスやブラウンソースに似せるような発想で作られたのではないかとも考えています。
現在では多くの味わいを持つソースが作られています。
料理に用いる際にも揚げ物焼き物炒め物粉物だけでなく色々な料理の隠し味や素材のマリネや漬物、煮物や時にはデザートにさえ用いる事が出来るとされます。
自分でもウスターソースを出汁で薄めて少し甘みなどを足してあんかけ焼きそばの味付けに用いたり丼物のたれとして使う事が有ります。鶏肉やレバーのソース煮もビールのあてになります。
ウスターソース類をベースにしたタレやソースや下味や隠し味に用いた味付けも多くあります。
ソースメーカ―でも多様な利用を提案しています。
ブルドックソース http://www.bulldog.co.jp/recipe/
カゴメ http://www.kagome.co.jp/recipe/search/index.html
オタフクソース https://www.otafuku.co.jp/recipe.php
イカリソース http://www.ikari-s.co.jp/enjoy/
書籍だと「ブルドックソースレシピ帖http://www.amazon.co.jp/dp/4103333413」「オタフク お好みソースレシピ集http://www.amazon.co.jp/dp/4806147478」があります。
ちなみにウスターソース類の定義とは何でしょう。
農林水産省ではこちらhttp://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000102.html
次に掲げるものであつて、茶色又は茶黒色をした液体調味料をいう。
1野菜若しくは果実の搾汁、煮出汁、ピューレー又はこれらを濃縮したものに砂糖類(砂糖、糖みつ及び糖類をいう。以下同じ。)、食酢、食塩及び香辛料を加えて調製したもの
21にでん粉、調味料等を加えて調製したもの
次に掲げるもの以外のものを使用していないこと。
1野菜及び果実 2砂糖類 3はちみつ 4食酢(醸造酢に限る。) 5食塩 6香辛料 7調味料 8酒類 9でん粉
規格においてはウスターソース、中濃ソース、濃厚(とんかつソースなど)は粘度による「濃度」の違いでしかありません。現実にはそれ以外に濃度と共に甘味やうま味成分などが多くなると認識されているでしょう。
私見ですが現在のウスターソース類の規格としては幾らか時代遅れで、実際には多様な副材料の添加が行われ、多彩な利用が可能な多種類のウスターソース類が作られています。
個人的には「うま味や風味のある液体に塩分、甘み、酸味とスパイスの風味をきかせた茶色か黒い調味料」です。粉末ソースもありますよね。
合わせ調味料として和洋、一部は中華やその他の食文化の味をも取り入れた融通無碍な複合ソースとして独自の進化を遂げています。
ステーキソースなどのウスター類から派生した複合調味料も有り、照り焼きのたれや甘酢との境目は曖昧になってきているのかもしれません。海外でもその地域で用いられる複合ソース類は有ります。
味の構成としては野菜か果実のエキスを含んだ溶液や醤油を含めたアミノ酸液等に、ナツメグ、シナモン、クローブ、胡椒等のスパイス、生姜、玉葱、セロリなどの香味野菜に5%から25%程度の酢、砂糖などの甘味、塩分、そのほかの香味風味成分やカラメルなどを加えて加熱してつくられた物といえます。
塩分、甘み、酸味、うま味、香味、風味を含んだ味わいで構成されます。
濃厚で刺激があるのが特徴といえるでしょう。ポン酢と同じく三杯酢の延長線上の調味料かバリエーションと考える事も出来ます。
もし飲食店などをされる場合にはどんなオリジナルソースが考えられるのでしょう。
勿論、一から自家製でオリジナルソースを作ることは可能で研究すれば素晴らしい自家製ウスターソース類を作ることも出来ます。それは大変好ましいことです。
しかし現実的には市販のソースを素材としてそこから独自のオリジナルソースに作り変える方が手軽ではあるでしょう。その方が割安になることも有ります。
一つの考えとしては市販のソースの中から美味しい物、コンセプトに合うものを見つけ出し用いるという手が有ります。
専門メーカーが工夫をして創り出したものなのですから高い品質でバランスが良く優れた商品が多くあります。一般には出回らない業務用ソースも有ります。
ただ高品質なソースはそれなりに高額だったり手に入れにくい物も有り、メニューのコンセプトに合うとは限りません。手に入る手ごろな値段のソースを少し変えることでより目的に合うソースを作ることも可能です。
よそでは味わえないオリジナルソースを持つ事がお客に訴求効果を持つとも考えられます。
幾らか検討してみましょう。
上で書いたような複数のソースをブレンドしたりケチャップや醤油、水あめや蜂蜜等の調味料を足すことも多くの店でされています。
ワインなどにあわせるタイプの店で洋食系の料理に掛けるなら煮詰めた赤ワインでコクや風味を足すとよいでしょう。赤ワインはチリやオーストラリアなどの濃い味の物を用いると合うと思います。その際にベーコンの赤身の部分やマッシュルームを刻んで入れて煮込みうま味成分を出す「だしのもと」として用いたり、フォンドヴォ―やブイヨンを加えたり、粒黒胡椒を入れて煮詰めても良いでしょう。黒ビールでも面白いかもしれません。日本酒や紹興酒辺りも味をまろやかにするでしょう。
米のご飯とも合わす洋食系の肉のカツレツの類には甘みを足したソースも合います。砂糖や水あめではなく蜂蜜やジャム、ママレードを入れる方法が簡単です。風味の強い黒砂糖などの粗糖だと少量で甘さを強く感じるのでクセが合う場合は有効です。
果実ではイチゴやベリー類のジャムは難しいかもしれませんがリンゴやアプリコット、マンゴー、パパイヤ辺りだと合わせやすいでしょう。オレンジや柑橘系は特に華やかな風味が出ます。固形物が口にあたるかもしれないので物によっては濾した方が良いかもしれません。
地ソースにはイチジクを入れた美味しいソースがあるのでイチジクも良いでしょう。
市販のジャムだと甘みが強すぎると感じたり割高になったりすることも有りますので自分でフルーツもペーストやエキスを作り加えるのも良いでしょう。
旬の時期に仕込んで置き、冷凍するなどして年中使う事が出来ます。イチジクやプルーンなどではドライフルーツを用いる事も可能です。デーツ(ナツメヤシの干物)もよく使われます。
地域の産物の柿や柚子、ミカンやリンゴや梨を用い地元らしい味わいを演出する事が出来ます。他にはパイナップルも手ごろで合うでしょう。
直ぐに使う場合を除いてすり潰すかミキサーにかけ加熱しておくのが基本です。素材を漬け込み味や香りを移してから濾すなどして取り除く方法も有ります。
甘みのあるソースとしては「味噌カツソース」のような物も有ります。豚肉や鶏肉のフライに合うと思います。
これには二つのタイプの物があり一つはウスターソース類に味噌と甘みなどを足したもの、もう一つは味噌に甘みと酸味を足しスパイスなどもいれ酒や出汁で濃度を調整し、ソース風に仕立てたみそだれの様なものです。みそだれに隠し味的にウスターソース類を入れることも有るので境界線は曖昧ですが米のご飯にも合うものが出来ます。赤みそ等の塩辛いものは必ず砂糖や煮切り味醂など甘みを加えます。
例えばウスターソース類に5%程度の石野味噌の白みそと原了郭の黒七味を加えた「京風ソース」といったものが考えられるでしょう。
中国の甜麺醤、韓国のコチュジャン辺りも有ります。
味噌系のソースだと練胡麻や胡麻油を加えても良く合います。他のナッツ系の物もありでしょう、胡麻味噌ソースだけではなくピーナッツバター味噌ソースも美味しそうです。
和風の香辛料、香味料の山椒や柚子、陳皮を入れても良く中華の八角や中国山椒・花椒、ときに五香粉やXO醤のような複合調味料を入れてエキゾチックに仕上げても面白いでしょう。地方色のあるかんずりや柚子胡椒なども使えます。
コンセプトによっては酒粕や納豆などを用いた「変わりソース」も考えられます。
ウスターソース類はスパイスやハーブを用いるのも特徴です。ナツメグ、シナモン、クローブ、フェンネル、オールスパイス、クミン、カルダモン、胡椒、唐辛子、タイム、ローリエ、ニンニク、山椒、ニンニク、生姜等です。これにターメリックを入れるとカレーになります。好みのスパイスを加えて香味を強化しても良いでしょう。少量だとカレーパウダーを入れても良いでしょうし同じくブレンドされたガラムマサラ(メーカーによって味は異なる)を入れるのも簡単です、ブレンドのシーズニングスパイスやタバスコやチリなどのスパイスソースを利用する手も有りでしょう。
スパイスは品質で香りも味も異なるので良い物だとグレードが上がります。加熱によっても香りが変わります。
同じく香り成分としては柑橘類の皮の砂糖漬けのピールが有ります。レモンピールやオレンジピール、柚子ピールのほか多くの柑橘の皮の精油成分を用いるものが有ります。市販品も有りますが自作も出来るでしょう。
お苦手な方もいるでしょうが人工の香料、エッセンス、フレーバーやオイルを利用する手も有ります。レモン、オレンジなどの柑橘系だけではなく、パイナップル、アプリコット、リンゴ、梅、アーモンドやチョコレート、乳製品まで多くの香料が製造販売されています。ほんの少し加えるだけで複雑な香味が作れます。
健康に良いとは言えないそうですが燻製の香り、スモークフレーバーも有効でしょう。玉葱やニンニクなどの素材をきつめにローストして加えロースト香をつけることも出来ます。
味覚においては香りの役割は大変重要です。
うま味・風味成分の追加の仕方も有ります。
普通のウスターやとんかつ、中濃にも昆布やカツオなどの出汁・魚介エキス、チキンポークビーフなどの肉エキス・スープ、魚醤やアンチョビやオイスターソース・エキスなどのうま味・風味成分が含まれている物も有りますが、タコ焼きやお好み焼き、特に焼きそば用のソースには複雑なうまみ・風味があるソースが有効です。
例えば(塩分の調整は必要ですが)イカやアミの塩辛や蝦醤の様な魚介の発酵素材を用いたり業務用などで市販されている牡蠣エキスやイカ墨(要加熱)なども利用出来るでしょう。塩麹などの麹のエキスやマーマイやべジマイトあたりも面白いかもしれません。
干し椎茸の出汁も良く会います、他に乾物だと干し貝柱や干し海老、煮干、鯖・鯵・飛魚なども。
昆布茶や場合によってはうま味調味料やスープの素やだしの素・出汁醤油を添加する手もありです。
酸味も米酢、穀物酢から黒酢なども有り、ワインビネガーやバルサミコ、リンゴ酢や柿酢なども利用できます。梅酒の漬け梅や塩気のある素材ですが梅干しや梅酢を上手く隠し味で使う考えも有ります。レモン、柚子、スダチ、グレープフルーツ、シークヮーサーなどの柑橘系の果汁も利用できます。
酸味にも酢酸だけでなくクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、うま味成分でもあるコハク酸、場合によっては乳酸なども有ります。ヨーグルトや乳清も上手く使えば面白いかもしれません。
ウスターソース類で使われるものとしては南方の果実タマリンドが有ります。果実やペーストや粉末で酸味をつけたりとろみをつける成分としても用いられます。
食感・とろみを与える素材も野菜などの素材の細かな固形物からコーンスターチなどの穀物成分、海藻や果実などから取られた増粘多糖類などが有ります。水あめやゼラチンもその意味もあるでしょう。
ときどき見かけるキサンタンガムというのはでんぷんを菌で発酵させて作る食材で普通に使う限りヒトには何の問題も無い「発酵食品」です。グアーガムは食用豆の成分です。
粘度によりテクスチャーや調味料の絡みつきによる味ののり方に影響を与えます。
色については加熱した食品の成分から時間をかけ発色するメイラード効果の利用の他、砂糖を焦がしたカラメルで色付けすることも有ります。
自作でカラメルを作る以外に市販のカラメルも有り、簡単に深い色合いを出す事が出来ます。濃口醤油だけではなくタマリ醤油や再仕込み醤油も使えるでしょう。
市販のイカ墨ペーストを加熱していれたり黒ごまペースト(練胡麻)でも色が付きます。
これらの素材を別にブレンドして作り置きして、隠し味用の「秘伝タレ」にしてソースとブレンドし、オリジナルソースを作れます。
目的にあわせ味覚を設計し、自分の味を創り出す事もできるでしょう。
味覚理論は科学に近い側面もあります。勉強し、工夫する余地があります。
実際、味付け・調味には基本的なパターンが有り、塩分と甘み、風味や酸味やうま味など、素材にあわせたいわば「方程式」的な部分が有ります。味付けや素材について理解すれば「こんな味にしたい」とのイメージから味を計算するのはある程度可能です。マンガなどにある「一度食べた味を再現できる」というのはある程度は事実です。
ご自分のイメージや理想から品質の良い素材をシンプル組み合わせて味を創るか、多くの味を積み重ねて複雑な味を創るか、食材の持ち味を生かすようにするか、ソースの味で食べさせるか、メリハリを出すか、バランスを重視するか、コストパフォーマンスを目指すか、個性を出すか出さないかいろいろ考えて試してください。
複数のソースを料理にあわせて使うのも面白いかもしれません。
ここで一つ「ネットでおそらく一番簡単で安い」自家製ウスターソースのレシピ案を書いておきます。
これをベースにしてもオリジナルソースが出来る筈です、上の内容を参考にお好みに改造してください。
仕上がり約1リットルで
1) トマト野菜ミックスジュース(無塩)900cc、りんご200g、玉葱200g、生姜30g、固形物はすりおろすか、粗く刻みジュースと共にミキサーにかけどろどろにする。
2)昆布5g、頭と内臓を取った煮干20g(これらのかわりにほんだし15g又はコンソメの素10g程度を加え、それが無塩でない場合は塩を5g減らす)と鍋に入れ、中火位で7割量(−30%)まで煮詰める。(アクを取り、焦がさない様に)
3) ガラムマサラ10〜20gをいれ10分ほど弱火で煮る、濃口醤油120cc、塩60g、砂糖60g(お好みでうま味調味料5gも)を入れ沸いたところで火を止める。
4)冷ましてから1日程度置き、ガーゼかさらしなどで濾し搾る(ザルなどで濾すと中濃風)、酢100ccを加える。長期保存する場合は瓶に入れてから70度の湯で30分湯煎に掛ける。
冷蔵庫で10日ぐらい寝かせると味が馴染んでくる。
搾りかすの煮干と昆布はそのままで惣菜にもでき、その他の成分はカレーの隠し味に使えます。
野菜ジュースが150円から250円、リンゴ玉葱はどちらも約小1個分になるので生姜も併せて200円程度から、出汁が50円から、醤油塩砂糖酢は合わせて100円くらいから、ガラムマサラも安いものなら100円くらいからですが銘柄によってブレンドも違い味を見てお好みで唐辛子や胡椒を足しても良いでしょう*1。全部で600円から1000円程度で作れます。材料により味が変わるので出来上がりをみてからでもお好みに調整してください。
ネットや本等で調べると他にも自家製ソースのレシピは多く有ります(より完成度は高いが高コストの物が多い)。
【追記】ついでに朝岡のウスターソース用スパイスセット http://www.asaokaspice.co.jp/spice/library/520867.html も書いときます。
【関連』
>世界のウスターソース類
>http://d.hatena.ne.jp/settu-jp/20160614/1465887807