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リテラシーと理解について考える

リスク?

 がんさんのブログ「アグリサイエンティストが行く」で質問をさせていただき丁寧にお答えを戴きました。
腸管出血性大腸菌の堆肥から植物体への移行について
http://gan-jiro.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-0f75.html
 ありがとうございます。
    
 その後そのコメント欄にitoh(元tahata) さんがコメントを書かれました。
 ご自身のブログの記事を紹介されていました。
 読ませて戴き勉強になりました。
 ただ、読んでも理解できない部分が有りました。

有機物・有機質肥料と食中毒
http://tahata.seesaa.net/article/206782921.html 
  
(基の資料のファイルサイズが大きい為に自分の古い安物のパソコンでは開けませんでした。申し訳ありません。以下は誤解かもしれません)
 引用された文章に
>野菜類による食中毒は,決して低い比率ではないと推定される。
     
 と書かれていますがこれは野菜特有の問題なのでしょうか。「生野菜」の汚染リスクだとすると論旨としてある程度妥当ですが一般的な加熱後の食品に対する食中毒リスクだと調理後の「料理」の衛生管理の問題で「野菜」の問題だとは考えにくいです。
 加熱後の「料理」に対する一般的な微生物の混入とその増加による食中毒の場合には「野菜」だとか「肉・魚」だという点に比較の意味があるのか、農法や農作物の衛生管理と関係が有るのかよくわかりません。
      
 後のコメントでいわれるとおり「土付き野菜」の「土」の調理場への持込がリスクを上げるといえる点はありえるとは思います。
    
 逆に
有機栽培野菜(圃場で確認できるもの:葉菜類と根菜類)や市販野菜,及び有機栽培圃場の土壌や市販合成有機肥料中の大腸菌群等について調査した。<略>53点の資料のうち98%から大腸菌群が検出され,これは市販の一般野菜の56%と比べて高い。
      
 とされる点については一般的に洗浄していない「土付き野菜」が多いと考えられる「有機栽培野菜」と洗浄してある「市販の一般野菜」をそのまま比べたという事はないのでしょうか。
 勿論、それはそれで問題ですが有機栽培農家の洗浄に問題があるとも考えることは可能です。
   
 その後で
有機栽培圃場の土壌101点からは大腸菌群が100%検出され,糞便性大腸菌群も7%から検出されており,堆肥施用の影響がうかがえる。
     
 としながら慣行農法の圃場の土壌との対照が行われていない様に見える点が気になります。
 慣行農法に比べどれだけ違うのかを示さないと「有機栽培圃場は不潔」で「慣行農法は清潔」という印象を見せるための書き様にも見えます。逆におかしな「自然農法」の人が言う「農薬と化学肥料を用いる慣行農法の農場の土壌には細菌は存在しない死の世界」という非科学的な迷信を補強する事にもなりかねません。
 有機資材を用いる慣行農法の大腸菌群・糞便性大腸菌群と比較しない限り「印象操作」にすら読み解けます。
   
>市販の合成有機肥料19点からは大腸菌群は検出されなかったが,それらの原料となる有機肥料原料からは大腸菌群が64%,糞便性大腸菌群が36%の高率で検出された。
   
 と有りますがこの「有機肥料原料」というのは発酵前の獣糞や緑肥・有機物の残滓などでしょうか、そうだとすると発酵させれば安全だという意味になります。糞便に大腸菌がいるのは当たり前です。
 そしてここにある「合成有機肥料」という物については検索したのですが何かわかりませんでした。
 無知なので文意が理解できませんでした。
         
 上の寄生虫の問題も人糞堆肥の問題ですが定量的な比較ではなく特定の「例」のみを挙げる点については意味がよくわかりません。
 「有機農法」に由来しない慣行農法の人糞堆肥寄生虫の例は存在しないのでしょうか。
 その点を確認したいのでがんさんのブログのコメント欄では「農薬」「化学肥料」についての機能としての寄生虫との関係についてお聞きしました。
        
 申し訳ないのですが「有機栽培農法は不潔」という前提からそれに合うデータを並べた様にすら見えます。
   
>アイガモ農法        
http://tahata.seesaa.net/article/122884415.html   
 個人的には基本的には日本の標準的な稲作に於いては化成肥料の追肥・穂肥を行ったほうが米の食味が向上するとする立場の人間です。
            
 今まで米による病原性大腸菌の感染の例を聞いたことが有りません。
 元々水中にない稲穂から採られた米を乾燥・精米し加熱炊飯した場合に大腸菌の問題が生じる可能性があるのでしょうか。
 「1.4倍汚染」されていたアイガモ農法によってリスクはどの程度になるのでしょうか?。
 大腸菌が乾燥では死滅しないのは事実ですが、事実上何らかのリスクが存在するのでしょうか。
 アイガモ農法自体に価値があるとは考えませんが水中の寄生虫も米の安全性と関係があるとは思えません。  

 福島の農産物の風評被害につながった、報道機関などの元々事実上存在しないリスクを「何倍増加した」とする論法には不信感を感じています。存在しないリスクを有るがごとく示すことには違和感を感じます。
 現在ほとんど考えられない「残留農薬の健康リスク」を騒ぎ立てるある種の「自然派」と同じ論法にも見えます。
 印象操作に印象操作で対応する「戦術」は好きでは有りません。特に「科学」を名乗る側がそれを行うのは評価できません。
 有機農法が「有機物施用回数や施用量が慣行栽培より多くな」ったとしても「有意」にリスクの上昇が認められないのだとすれば「リスクが高くなると思って」いるという表現は良いとは考えられません。
    
 リスクを語る場合には可能な限り「定量」に基づくべきで、考え難い「予防原則」を「仄めかす」のは自分の「リスク論」についての立場として同意できません。
 「有機栽培」「アイガモ農法」への違和感を持つのは妥当だといえますが、リスクを「思う」で語るのは慎重であるべきです。
 「敵」の側の印象による欠点を論う「論争」には興味がわきません。
 もし「敵」を「穢れ」として扱うのならまともな対話は可能にはなりません。
      
 素人の意見なのでこちらの誤解なのでしたら申し訳ありません。