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リテラシーと理解について考える

思い出したこと

 話題になっているwebronzaのサイトを観ていて思い出しました。
 元共同通信編集局長でTBSのNEWS23アンカーマンだった後藤謙次氏の顔が「政治・国際」の執筆陣の中に見えました。
 そこそこ鳴り物入り筑紫哲也氏の後釜として登場したのを覚えています。
  
 で、登場直後に顔見せ企画として後藤氏が作家の五木寛之氏にインタビューをされたのです。ご本人の企画なのでしょうか。
 タイトルは「鬱の時代を語る」。五木氏のご自身の鬱病体験から現代社会を「鬱の時代」として時代について
  
>「戦後50年の躁(そう)の時代が終わって、10年の空白後、鬱(うつ)の時代に入った。歴代の首相でいうと、所得倍増の池田勇人、列島改造の田中角栄は躁の、安倍晋三福田康夫は鬱の政治家です。鬱の時代とは後ろを振り返る時代。過去の中に自分の忘れてきた大事なものを見いだすのです」
 http://stresscare.net/news/3203/
  
 といった様なことを語り、自己流の鬱治療法?……らしい「日記(メモ)を付ける」だとか(うろ覚え)のなにかの思い付きくさいお話でした。
 後藤氏は「なるほどご尤も」と相槌ばかりだったと覚えています。
  
 うーん。時代論なんかは唯の印象論でご自分の鬱状態から見た根拠のない自己投影にしか見えないし、鬱病治療は近頃は薬物療法心理療法の組み合わせでの治療が効果を上げていて、今更素人の独自療法などテレビで流す必要なんかないんじゃないの?と思いながら見たのを覚えています。
>メルクマニュアル家庭版「うつ」http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec07/ch101/ch101b.html
  
 この番組の視聴者層には人気のある作家だと言えるのでしょうが話の内容はとても薄く感じました。
 後藤氏もベテラン記者にしては切り込みが浅く、「偉い先生」からお話を伺うとか「芸能人」ファンのインタビューにしか見えませんでした。「政治記者」とはまぁこんな仕事なのだろうね。とも感じました。
  
 とはいえ五木寛之氏の言動には違和感を感じていました。
 何日かしてから本屋で五木氏の対談本を見かけました「健康問答 本当のところはどうなのか? 本音で語る現代の「養生訓」。」


 対談相手は帯津良一氏です。日本ホメオパシー医学会理事長です。


全人間的(ホリスティック)な生きかた----帯津良一さんのこと
五木寛之
帯津良一さんは、私がもっとも信頼する医師であり、知識人である。わからない
事を、わからないと言い、科学にとって未知の領域を決して一方的に断定しない
その姿勢に、謙虚さだけでなく、つよい信念と勇気を感ぜずにはいられないの
だ。いつもお会いするたびに、敬愛の気持ちを深くするのは、そのためである。
専門分野を超え、東西の養生法から詩歌・文芸の世界にまで、広く視野におさめ
る帯津さんの姿勢こそ、まさに全人間的(ホリスティック)な生きかたと言える
だろう。

 他にも何冊か帯津氏との医学・健康系の共著があります。五木氏はすでに「あちら」の世界の方のようですね。
 その番組ではホメオパシーの話しはされませんでしたが、広告塔又は同士の一人と言えるでしょう。帯津氏の政治力の源はこの辺りにも有るのでしょう。
  
 政治記者は「偉い人」から話を引き出すのが仕事で、後藤氏の世代には五木寛之氏はカリスマなのでしょうが報道番組としては安易な企画にしか見えませんでした。
 
 「政治」が属人論法のジャンルなのはやむを得ないのかもしれませんが政治系報道記者のトンデモ耐性の低さ、専門知識の軽視、事実関係への検証の浅さは報道機関の「文化」なのでしょうか。
  
 思いのほか広く深くホメオパシーは報道機関やマスコミに蔓延しているのかもしれません。