多くの場合商品の価格が安くなるのには理由があります。
客寄せなどの企画物やシェア獲得のための経営戦略、購入意欲の高い時期に於ける売上競争、販売コストを安く出来る集中的な大量販売の企画等。そういった前向きな理由のほかにも在庫が過剰で商品を捌かないといけない状況や、何らかの理由で直ぐに商品を換金する必要のある場合とだとかの厳しい経営の判断での安売りも有ります。
近頃だと過度な値下げ競争での無茶な価格競争も有り、労働そのものの価値を下げてしまうのは社会的にみて良い事ではないでしょう。
とはいえ自分が買う場合には安いというのは購入動機になることも確かで後ろめたいもののついつい手が出ます。
この時期になると冬物衣料の底値の在庫処分が行われます。
場合によっては半額やそれ以下の値段で商品が売られ、次の冬にも着られそうだという考えでついつい手が出ます。
ご存知の方も多いでしょうが、その場合に覚えていてもよいと思う事があります。
素材についてです。
近年肌着などでは多く使われ、伸縮性があり体へのフィット感に優れ、柔らかな肌触り、暖かで軽い優れた機能を持つ「ポリウレタン」という素材があります。
木綿やポリエステルやナイロン等を主体とする生地に数%から数十%程度含まれ、その素材の機能の向上に大きく寄与します。
布地などにコーティングされて「合成皮革」とも言われる安価で軽く雨にも強い生地として衣料や鞄の素材にも多くの需要があります。
クッション性も良くウオーキングシューズや登山靴・トレッキングブーツ等のスポーツシューズやその他の靴でも部分的に使われている事があります。靴底としては滑りにくく耐水性も有るとして特に安価なものではよく用いられているようです。
機能性を売り物にする枕やクッションでも使われることも多い事もご存知の方も多いでしょう。
この優れた素材にも大きな弱点があります。
「加水分解」等による「経年劣化」です。つまり空気中の水分等に素材が反応し、使用頻度や使用法・保存や手入れなどの扱い方とは関係なく素材そのものが分解してしまうという事のようです。
エステル系ポリウレタンとエーテル系ポリウレタンの二種類があり特にエステル系の方は分解し易いそうです。
購入時期からではなく素材その物の製造時期から3〜5年程度で布地だと伸びてしまうか変色したり、合成皮革のコーティングだとぼろぼろとはがれだし靴底やクッション材だと硬く固まり崩れてきたりもします。
多く使っている場合は「寿命」だとして納得できるのでしょうが使わずに仕舞って置いていても「寿命」には余り変わりがないようです。
ついつい買い置きしておいた下着や靴下などがいざという場合に使えない場合やすぐに駄目になる場合も有ります。
あまり使わないスポーツシューズや礼装用のつもりの靴などが出してみると用をなさないのは困ることも有るでしょう。
お気に入りのデザインの鞄がぼろぼろだと悲しい気持ちになるでしょう。
上着などでわざわざクリーニングに出していた物が劣化している場合にはクリーニング屋にクレームが付くトラブルもよく有るそうです。綺麗にして仕舞っておいたはずの服が劣化していると困惑する気持ちはわかります。
もともと品物の値段が安いので止むを得ないとの考えもありえますが定価だと安くないものも有ります。
販売側ではユニクロ等幾つかの大手メーカーなどでは一応注意書きは書いています。ご存知の方も居られるでしょうし問題はないと考える方も多いでしょう。
しかし現実には殆どの商品にはちゃんとした「消費期限」は書かれていません。素材の製造年月日も書かれていることは殆どありません。注意書きがあっても理解しにくいとも思います。少なくとも全ての消費者が理解してるとは思えません。
理系の人はご存じで服に興味のある人には困ることはないかもしれませんが、安いからといって買い置きをしてしまう人は気を付けてください。
個人的にはもう少し周知を徹底してもらい店頭などでの告知もしても良いとは考えます。
値段が安いのは既に「消費期限」が短いという理由による物です。短期間であっても納得のもとに支払い、金額に見合う利用ができる場合には売る側にも買う側にもメリットのある公正な取引になるでしょう。
値段が安いのには何らかの理由が有ることが多いです。消費者の学習も必要だとも考えますがそれが全てだとも考えません。
これも「リテラシー」の一つだと思いますので書いてみました。購入前に一度素材にも気を付けてください。
>洗濯屋の家頁「ポリウレタンについて」
http://www001.upp.so-net.ne.jp/goinkyo/polyurethane.html
>国民生活センター「下駄箱のミステリー?! ウレタン底の靴」
http://www.kokusen.go.jp/news/data/a_W_NEWS_071.html
>クリーニング屋の知恵ブログ 『ユニクロの「ネオレザー」』
http://www.packman2.com/wordpress/?p=42
近頃のユニクロの商品、デニムやウール系の物も含めポリウレタンが使用された商品が多いのは販売戦略の一つかと憶測をしています。昔の都市伝説の「ソニータイマー?」みたいな話ですが(笑)。