- 作者: 佐々木道雄
- 出版社/メーカー: 明石書店
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- 作者: 佐々木道雄
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先駆者鄭大聲氏らによって示された近代「焼肉史」を覆す研究です。
朝鮮王朝期から植民地時代・戦後の韓国・朝鮮の肉食文化の変遷を史料から調べ上げ、現代の日本の「焼肉」との関係を整理しようとする試みです。
日本の食肉史から俗説を排し、「隠された」肉食の実態を詳らかにします。
「プルコギ」「カルビクイ」と「焼肉」の関係、明治以降の欧米・中国の食文化の移入、「食」と「栄養」の近代化、「ホルモン」とは何なのか、内臓食の実態、焼肉用語の語源説の見直し、「ジンギスカン」との関連、植民地支配・戦争との関わり、商魂逞しい人々の「奮闘」、「焼肉」誕生の秘密が明らかにされます。
「焼肉の文化史」では通説の問題点を示し、「焼肉の誕生」では新たな「焼肉史」を展開します。
幾らか拙速な結論に見える部分もあり、批判や検証の必要も有るでしょうがこの先の研究の指針となる重要な指摘が多く有ります。
「知ったかぶり」をして薀蓄を傾ける方はご注意ください。
「文化人」「有力者」が自ら調べる事も無く安易に俗説・伝聞情報から「食」を語り、根拠の無い食理論(栄養・食文化等)を垂れ流す事も多いのですが「市民学者」であっても丁寧に調べさえすればより確からしい事実を見出す事も出来ます。
卑近な事柄だからといって「偉い人」の粗雑なご高説を単に受け入れるのではなく正確に調べる事は必要でしょう。
根拠は無いが受け入れやすい「レトリック」が蔓延する「食」についても正確な「事実認定」は存在します。簡単に「腑に落ちる」説明でも立ち止まり、考え、調べるという姿勢も忘れてはいけません。