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リテラシーと理解について考える

COLT LE901の続き(雑談・動画あり)

 銃器ブログでもないにも関わらず記事に書いたのでCOLT LE901での検索で訪れる方も多いのですが情報が少なくて申し訳ないです。
 特段の新規情報も無いのですみません。
>COLT LE901 http://d.hatena.ne.jp/settu-jp/20110324/1300893482
  
 とはいえ反応はあるようなので個人的な見解をもう少し。
 最初に書いておきますが30年来のFNシンパで現在は「SCAR派」の人なので偏見があるのはご容赦を。
   
 アメリカ軍の正式ライフル/カービンであるM16/M4は「弱点」は存在しますが基本的には現時点での変更の必要性はそれほど無いと考えます。
          

 「弱点」については一般的には以下の部分でしょう。
・よく云われるリュングマン方式(ダイレクト インピンジメント・ガスシステム)自体。
 1)ガスチューブが詰まると発射時に破裂する可能性がある(ユーチューブ等でも画像がある)。
 2)発射ガスがボルト内部に入るので汚れやすい。温度も上がるので危険。
 3)同じく機関部にも入るので温度や発射ガスによる部品の劣化による破損の頻度があがる。
・一部の部品(ロッキングラグ、ファイアリングピン、エキストラクター、ハンマーピン)が元々幾らか華奢で、射撃中の破損の危険がある。
・アッパーレシーバーのフォアエンド(フォアグリップ)の固定方式の剛性が低くオプションでのレールシステムやグレネードの使用が困難。
・アルミ合金は多いですが金属部品の比率が高くオプションパーツをつけると比較的に重い。
・ストックが折りたためず嵩張る。
・ボルトとチャージングハンドルが別部品で引き下げ一方向で押込みも出来ず、位置も射撃中に扱いにくい。 
・マガジンの耐久性不足。
・.223自体の威力不足。
   
 で、その点についてですが。まずリュングマン方式は利点としてまず
・軽量である。
・射撃時にピストン方式に比べ銃身に対する負担が少ない。ガスピストンからボルトキャリア(スライド)への打撃が作動方式になる場合は撃発時に衝撃が銃身に直接的にかかる。結果理論上リュングマン方式の方が命中率が比較的に高くなり易い。
・安価である。といった点があります。
 「欠点」についても1)ガスチューブが詰まることは現実には殆ど無い様で映像はわざと何かが詰まるようにして実験いるしている可能性もある。
2)発射ガスによる「汚れ」は一度の戦闘の数百発程度の射撃では作動には影響しない。熱も通常のセミオート中心の射撃ではそれほど問題は無い。(IARのH&K416はピストン方式が適切)
3)破損しやすい部品はわかっているのでこまめに部品交換すればそれほどは問題は無い。
 現行型M16/M4のリュングマン方式はコストやメリットとのトレードオフ(損得)で考えればアメリカのような兵站に優れた大国の軍隊としては大きな問題ではないと考られます。後の「欠点」については。
  
・幾らか華奢な部品は素材や熱処理の改善で耐久性の向上は期待でき、これもこまめに部品交換すればそれほど問題は無い。
・アッパーレシーバーはモノリシックタイプへの変更は可能で必要だろう。
・重いと言ってもそれほどでもない。
・ストックは慣れれば扱い易く、折り畳みよりも緊急対応が容易な部分も。
・チャージングハンドルは良くないが、訓練である程度の対応は可能。
・マガジンは改良された新型がある。
・新型のM855A1は近距離では十分な威力があり、軽量で撃ち易い.223は世界標準が進んでいて戦場・作戦内容によって.308をマークスマンライフルやサポートスナイパー形式で分隊単位に配備すれば良い。
  
 という訳で個人的な見解としては現行のM4(A1)についてはアッパーレシーバーのモノリシックタイプ等のフォアエンド固定方式の変更と部品の一部の改良で「M4A2」にすることで後少なくとも10年位は使用が可能だと考えます。
 多くの部分がすでにカスタムM16/M4やガスピストン化モデル等ではすでに解決済みの話でしょう。
   
 ここでやっと本題のCOLT LE901ですが。
 ショートストロークピストン方式への変更の場合M16/M4のボルトキャリアはデザインが複雑で特に後ろに長いのが問題なはずで、リュングマン方式だとガスが内部に入るために独特なデザインにも意味があり、ピストンよりもガスの方がインパクトが柔らかいので長いボルトキャリアでも滑らかに後退するのでしょうが、ピストンの場合はインパクトがシャープなのできれいに下がらないらしく、H&K416,RugerSR556,SIG SAUER516辺りでもボルトキャリア後部のデザインでの工夫がされています。
    
 この点が.308のモデル共々どのように処理がされているか、そしてより大きな部品への負担がかかるだろう.308との共用のための部品の強化がどの程度なのか.223の状態での重量に影響があるかが問題です。
 IARのH&K416(M27 Infantry Automatic Rifle)だと問題の少ない大幅なコストの上昇も標準ライフル/カービンとしてはどうなのだろうという点は特に疑問です。
 現用のM4(A1)だと1000ドル以下で「M4A2」としても1300ドルはいかないと考えますがLE901だと2000ドルは超えそうです。個人的にはロアレシーバーをポリマー(樹脂)にでもして軽量化しないのだとすれば大きな意味は感じません。
 昔で云えばM1 GarandをM14に変えた時のような中途半端な変更に終わる可能性もあります。(M14は後に復活しましたが…)

 「火薬と鋼」のmachida77さんの処http://d.hatena.ne.jp/machida77/20120115で紹介されているLE901-16Sですがhttp://www.tactical-life.com/online/products/colt-multi-caliber-le901-16s/?hp=products_title .308はとても格好良いのですが中身はどうでしょう。
>POLICE magazine
http://www.policemag.com/Channel/Weapons/News/2012/01/13/Colt-Introduces-LE901-16S-Carbine.aspx
 現行M4も追加購入したらしいので生臭い政治の話でも無い限り新小銃は決まらないでしょう。M9A1もしばらく変わらないようです。
             
ついでに他の銃の話も少々。以下動画あり。
 FN SCARは個人的なお気に入りですが例えばカスタムM4等に比べると操作性がまだ練れていないとは考えます。
 機構的には完成度が高く「機械的」には最善だと思っています。
 BushmasterACRは新型のは相当良いと思います。M16/M4 と共有部品は同程度の耐久性でしょう。
 スマートで操作性はとても優れていると思います。
   
 Beretta ARX160はイタリアの名門ベレッタの新型。H&KG36の影響の濃い軽量でバランスの良さそうなデザイン。
 銃身交換システムが面白い。部品が華奢に見えるのと剛性と命中精度に興味がわきます。

         
 CZ 805 BREN A1/A2 チェスカー・ズブロヨフカCeska Zbrojovkaの新型。
 チェコのライフル。SCARの影響下にあるデザインですが中身は別物。モジュラー化した構造で多種類の弾薬にも少ない部品交換で対応できる。マガジンハウジングも交換でき汎用性が高い。バランス良好で重くない様。無骨で好きな感じ。
http://www.czub.cz/en/catalog/86-law-enforcement-military/OS-AUT/CZ_805_BREN_A1.aspx
      
  Galil Aceはイスラエル・IWIのガリルの新しいポリマー使用のモデル。
 剛性の高そうなレシーバーとフォアエンド。
 操作性に疑問はありますが中身は定評あるAKのレプリカ。命中精度はどうでしょう?。
http://www.israel-weapon.com/?catid=%7B3B7B48F5-CA99-4282-9D7F-13C8CCA5A4DA%7D
     
 Robinson XCRはアメリカのロビンソンRobinson Armamentのマルチキャリバー(多口径)モデル。
 M16/M4に似た外見ですが中身はほぼ別物。ロングストロークピストン方式でボルトキャリアー形状も独特。AKに近い。アメリカでは値段も手ごろらしく(定価1500ドル程度)そこそこ売れているようで地味ですが実用的な印象。
http://xcr.robarm.com/xcrl.php