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リテラシーと理解について考える

「データから見た格闘マンガ」序説

 近年、「格闘技・武道漫画」の『枠』が減っているのかという話です。
 id:gryphonさんのhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150504/p2http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150512/p2の記事から続けたまとまりのない不完全な簡易調査のメモ書き等です。作品の内容評価については基本的に論じません。

 自コメントより。

 商業出版の今現在進行形の格闘技・武道漫画はとりあえず「火の丸相撲」「UBS」「はじめの一歩」「刃牙道」「鮫島、最後の十五日」「修羅の門」「鉄拳チンミ」「ツマヌダ格闘街」「リクドウ」「喧嘩稼業」「ハナカク」「オールラウンダー廻」「鉄風」「陣内流柔術流浪伝 真島、爆ぜる!!」「バガボンド」「愛気」「雄飛」「マイボーイ」「七帝柔道記」「セスタス」「ケンガンアシュラ」「明治異種格闘伝 雪風」「あさひなぐ」「はやて×ブレード」の24作が有るのを確認しました。
     
 抜け落ちもあると思います。今年中に終わる可能性があるのが3作前後。
 これが多いのか少ないのか、増えているか減っているかはわかりません。
 2015/05/09

 ブックマークコメントをしました。

 今年完結済は「軍鶏」「りきじょ」「ジュウドウズ」。   
 2015/05/12


 5月9日時点の連載で抜けていて気づいたのはフェンシングの「銀白のパラディン週刊少年サンデー5月13日24号で完結しました、同じくフェンシングの「DUEL!(ヤングガンガン)」レスリングの「弾丸タックル(月刊少年チャンピオン)」、柔道「KIMURA 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(週刊大衆)」もありました。サンデーの『枠』はその時点まで有ったと見ることもできます。
「バカビリーバー(週刊ヤングマガジン)」が格闘マンガに進むかもしれません(上記記事コメントから)。4コマですが現在唯一のプロレスマンガかもしれない「強くてカッコイイ女子は好きですか?」はTwitterアカウント「ツイ4」とWebサイト「最前線」で掲載された作品から書籍になったものですがこれも商業出版の格闘マンガといえるでしょうか。
 まだあるかもしれませんがとりあえず29作か30作程度だったという事になります。(あったら追記します)
 【追記】月刊少年シリウスのSF格闘もので馬場康誌「ゴロセウム」がありましたのでこの時点で31作でした。
   
 このうち昨年2014年の新作(続編を除く)は「火の丸相撲」「ジュウドウズ(完結)」「銀白のパラディン(完結) 」「リクドウ」「雄飛」「マイボーイ」「七帝柔道記」「明治異種格闘伝 雪風」「強くてカッコイイ女子は好きですか?」の8作、2014年に完結した作品は「史上最強の弟子ケンイチ」「BUYUDEN」「空手小公子物語」「ロックアップ」「モングレル 」「ウチコミ!! 」「真・餓狼伝」の7作を確認、もう少しあるかもしれません。
 2015年の新作は一応現在「UltraBattleSatellite(UBS)」「DUEL!」とまだわかりませんが「バカビリーバー」です。【追記】「ゴロセウム」もありました。
修羅の門」と「鉄風」の完結が確定し、あと何作か終わる可能性のある作品も有ります。今年5月までで3作4作新作で後半も同じようなペースだと昨年末時点の31作から25〜28作で微減程度でしょうか、この2年が平均的な推移なのかはわかりません。
 
 特に「格闘技・武道漫画」のファンというわけでもないのでそれ以前はわかりません(実際、ここに書いてある作品もちゃんと読んでいるのは5分の1もない)。興味がわいたのは「格闘技・武道漫画」ではなく「その状況」です。
 平均的な作品数がわからないためとりあえずは量的に衰退していると断言はできないでしょう。
   
 他に「キン肉マン」等を格闘マンガに入れるべきかどうかもあります。
 
 「格闘技・武道漫画」は週刊少年サンデーに『枠』が有った様に見え、週刊少年ジャンプは力を入れていないように見えますが2000年以降でみれば新作はサンデーの「タケル道」(短期集中連載)2000年「KATSU!」2001年「史上最強の弟子ケンイチ」2002年「武心 BUSHIN」「いでじゅう!」2006年「BUYUDEN」2011年「銀白のパラディン 」2014年の7作、ジャンプは「A・O・N」「UltraRed」2002年「キックスメガミックス」「ごっちゃんです!!」「サラブレッドと呼ばないで」2003年「タカヤ -閃武学園激闘伝-」2005年「K.O.SEN」2008年「クロガネ」2011年「無刀ブラック」2013年「火の丸相撲」「ジュウドウズ」2014年「UltraBattleSatellite」2015年の12作(Wikipediaより)で実際はジャンプの方が新作投入数は多い(特に02〜03の大量投入が目立つ)ようなのでこの2誌では単に『枠』というのは難しいのかもしれません。
 ただ週刊少年誌一般としてはより大きな『スポーツ枠』というのは有るかもしれないとは感じます。
    
 Wikipediaではわかりにくかった(時系列で書かれていない)のですが週刊少年マガジンでは「はじめの一歩」の他「新・コータローまかりとおる! 柔道編(27巻、シリーズ計94巻)」が2000年末までで、2001〜2002年に「霊長類最強伝説 ゴリ夫」がありますが近年は基本的に「はじめの一歩」があってその他もう1作が有るかどうかの状況。
 週刊少年チャンピオンは基本的に「刃牙」があり、2009年からは「バチバチ シリーズ(上記の「鮫島」、計30巻〜)」が始まり、10年からは12年は「ハンザスカイ」その後13〜14年「真・餓狼伝」「ウチコミ!! 」ほぼ2〜4作程度は掲載しているようです。Wikipediaで見たところ正確ではありませんが(タイトルからだけでは内容が掴みにくい)新作は2000年以降10作以上。
週刊ヤングマガジンでは基本的に「空手小公子」及び「喧嘩商売(稼業)」のいずれか1作又は2作掲載されていて、週刊ヤングジャンプも「タフ」以降も抜ける時期は有るものの1作は載せられているようです。これらの雑誌は『枠』が有ると見る事も出来るかもしれません。
 但し同じ雑誌の場合はヒット作の大長編の後には類似する作品の人気が出にくいという側面もあるのかもしれません。
     
 現在最古参の「格闘技・武道漫画」は「鉄拳チンミ」が1983年開始(「キン肉マン」1979を除く)で2年の中断期間がありますが32年(計77巻〜)、「修羅の門」開始が1987年(本編1996中断、2010再開、計61巻〜)「はじめの一歩(110巻〜)」が1989年〜、「グラップラー刃牙(計117巻〜)」が1991年から、「高校鉄拳伝タフ」が1993年から「TOUGH」の2012年まで(計83巻)、「軍鶏」は1998年から(34巻)、同「バガボンド(37巻〜)」。2000年「空手小公子(計56巻)」「史上最強の弟子(計66巻)」。この辺りが代表的な「大長編」。(連載ストーリーマンガの場合週刊誌だと年4〜5巻、隔週誌や月刊誌だと年2〜4巻が標準)
    
 一つの仮説(歴史観?)としていえば夢枕獏の影響を受けた1987年「修羅の門」開始(奇しくもこの年、梶原一騎が死去している)から始まる現代「格闘技・武道漫画」の歴史が、90年代半ばからはブーム的な状況になり、2000=00年代には長編、大長編になるヒット作が綺羅星の如く並ぶ「黄金時代」を迎え、2012年辺りからそれらの大長編が終わりはじめ(2010辺りが頂点?)、2015年「修羅の門」完結と共に「世代交代」又は「黄金時代が終わる」時期になったと考えられるのかもしれません。
    
 ブームの終わりなのか読者の高齢化か短期的な不作か端境期か堅調期か飽和状態なのか実際のところはわかりません。作品数に関してはできれば20年位は比べたいものです。
 とはいえ現在でも競技スポーツ物では無い(ブームを支えた)「修羅の門」系の「最強」異種格闘技・総合物も6〜8作でそれなりのニーズは有るようです。
 もう一つの「王道」部活スポーツ格闘・武道物は女子物が増えましたが男子の「弾丸タックル」「火の丸相撲」が気を吐いています。
 2010年以降の新作で10巻以上の長編は10年の「ハンザスカイ(完結)」、11年からの「あさひなぐ」「BUYUDEN(完結)」、12年からの「ケンガンアシュラ」辺り。近年新作の大ヒットに恵まれないといえるでしょうか。

 少し気になるのがネットでの「格闘技・武道漫画ファン」の新作に対する厳しさです。
 「黄金時代」が頭にあるのかマニアに限って新作をほとんど評価しない……。観測範囲だけかもしれませんが印象的には「衰退期」の特徴のようにも見えます。
 ブームの始まりは(おそらく)不完全でも採りあげられるだけで喜んだマニア・ファンの読者が新作が出ると「名作」の到達点と比較し、低く評価し、後継者が育ちにくいというのはありえる状況です。優れた作品が続き、受け手の目が肥えるというのもブームの終焉の理由の一つなのかもしれません。面白い作品と「正しい」作品が一致するとは限らないでしょう。
   
 とりとめがなく抜けの多い相当粗い記事ですが、もしよろしければどなたかこの後を続けてデータを集めて戴き(引用されるなら要件を守り)、「格闘漫画全史」や「21世紀の格闘技・武道漫画」「格闘マンガデータべース」「格闘マンガ年鑑」といった研究にしてください(既に同人誌などで存在するかもしれませんが)。こちらへのご指摘も歓迎します。
 格闘技・武道物だけではなく音楽物や料理物も00年代にブームになったといえるのでその辺りを調べるのも面白いかもしれません。
    
【追記】2015年に終わった作品は「軍鶏」「リキジョ」「ジュウドウズ」「銀白のパラディン 」「修羅の門」「UBS」「鉄風」「ハナカク」「明治異種格闘伝 雪風」「マイボーイ」の10作で、始まったのは「DUEL!」「UBS」「バカビリーバー」「BlackBox」「修羅の刻 昭和編」「暁の暴君」「世界はボクのもの」【追記】「ゴロセウム」【追記2】「ごっつあんです」の7作9作、マイナス3作1作ですが2016年早々「修羅の刻 昭和編」「弾丸タックル」の2作も終わり、1年強で5作4作3作減ったので2016年1月初めの時点では減少気味といえるでしょうか(【追記】2月に2作新作が有ったので大差は無いといえる様です)。